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2007/08/15

「政権担当能力」というテンプレ

どうやら、外交における「政権担当能力」というのは「米国(の特定政府)の意に沿わぬことはしてはならぬ」を意味するらしい。

たいした能力である。

しかし、そのような前提ならば「能力」などは必要ない。
どんなに無能力でも「これまでと同じように言われることに従うこと」位はできるだろう。

「能力」が必要とされるのは
一見対立する「困難」な現状があり、そこから妥当な結果を引き出そうという時だ。

少なくとも、これまでの政権担当者はそのような困難を避けていただけなのだから、「政権担当能力」があったわけではない。
「政権担当能力」を問われる事を避けることで「政権」を担当(維持)していたと描写する方が似合っている。

沖縄の基地問題。
グアムへの移転問題。
MD戦略問題。

莫大な借金を抱えているから社会保障費を削り、消費税を上げたいといいながら、「安全保障」の「錦の御旗」を振りかざせば、なんら費用対効果を省みることも無く、言われるままに貴重な国家予算を大盤振る舞い。
世界でも有数の防衛費を費やしながら、それでも「脅威」という「情」にとらわれ、必要以上の「恐米神話」に支えられた「安全保障」というマジックワードにより際限の無い予算が既得権益に吸い取られていく。

しかも、安全保障に関わる「情報」は、機密事項であるがゆえに、「政治資金規正法」を盾にとり「法律の趣旨に沿わない」などというアホのような言い訳をして情報開示を拒否する必要ない。
「日米軍事情報包括保護協定」のようなモノもいつの間にやら調印・発行されている

脅威という現状(環境)が防衛費を必要としているのなら、その緊張緩和を進めるのかと思いきや、金がかかる環境作り(感情的緊張作り)に余念が無い。

拉致被害者問題にしても「脅威」という「感情」を煽るだけでなんら妥当な「結果」をもたらさないばかりか、現実は、被害者の帰国が困難な状況を積み上げ続けるだけである。

中東からの石油資源の保全が求めるべき「結果」なのだが、現実は、さらに「脅威」は拡大し、中東は混迷・不安定に向けまっしぐら。

「日本国民が願う望ましさ」を「困難な現実」の中で実現していくにはもちろん「能力」は必要になるのだが、「困難な現実」を容認するだけならば「能力」など要らないのである。

「能力」が無いから「困難な現実」をそのまま容認し、こともあろうに「日本国民が願う望ましさ」を(能力が無いから力技で)「困難な現実」に沿わせることに夢中になっている。

彼らに「能力」があるとするならば、有無を言わさぬ既成事実を積み上げ、「現実」に弱い日本人に、「日本国民が願う望ましさ」を断念させる、あるいは転向させる「能力」のことだろう。

このような事態の進み方は、戦前となんら代わりが無い。
軍部の強行、政府の追認、更なる強行、更なる追認。
これこそが方向を失った日本が歩んできた「過ち」への道筋だったはず。

一体どこの国の、誰のための「政権担当能力」なのかわからない。

少なくとも戦争により荒廃を体験した戦後のいくつかの政権は「困難な現実」と「日本国民が願う望ましさ」の間で苦悩し、より妥当な結果を出そうとした形跡はあった。
いまでは、そのような苦悩、困難は元から背負うつもりなどなく、ただただ「困難な現実」に従順であるだけだ。

今話題の「テロ特措法の延長」にしたって、その延長が必要だという意見があっても「しかたがないから」という理由しか見当たらない。
恐らく多くの国民も「テロを無くしていく為にはどうしても必要だから」なんて理由はよほどの楽天家でなければ誰も信じちゃいない。
米国の「テロとの戦い」という「力による制圧」でテロが無くなるなんて、もはや、誰も思っていやしないが、遠い中東のことでもあるし、米国との付きあいもあるから「しかたがない」から「延長が必要だ」と言わざるを得ないと「思っている」に過ぎない。

『「テロ」と名づけられた「殺戮の連鎖」を無くしていくには、アメリカ(現政府)の誤った(あるいは意図的なミスリードによる)事実認識の上に掲げられた「テロとの戦い」で本当に良いのか』
という「簡単な問い」を日本の現政権担当者は、巧妙に避けて本当にテロ(と名づけられた殺戮の連鎖)を解消していく「能力」を試されることが無いように無いように振舞っているだけだ。

今の与党や、そのお仲間が言う「政権担当能力」などは、所詮その程度のものでしかないのだから、野党はそんなテンプレのような語彙を気にする必要はこれっぽっちも無い。
逆に民主党の誰かさんみたいにそんなものを鵜呑みにしていては、「困難な現実」をより強固な「困難な現実」に置き換えるだけである。

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