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2007/05/04

憲法記念日に

私は一度「シャーロットタウン協定」のReferendum(1992年10月26日)として、国民投票の「雰囲気」をカナダで体験したことがあるのだけれど、その時は主権者であるカナダの国民が自国の行く末を真剣に議論しあう姿をいいなぁと思いながら見ていたように思う。
そんなこともあって正直言えば「国民投票」も地方自治体の「住民投票」も基本的には肯定的に考えている。

政治のパワーゲームから生まれるような「国民の意思の無視」と思わせる「不可解な法案」や法的根拠が曖昧で意見の分かれる重大法案(「年金法案」「イラク特措法」等)もできれば「国民投票」に付してほしかったとさえ思う。

ただ、このようなことには国民の意思など確かめようともせず、住民投票などは軽視しつづけられていたのに、憲法のことになると急に熱心に国民の立場にたって「国民の主権」であるなどと「国民の為」という御旗を振り始めるのはなんともアンバランスに思える。

「国民投票」だけでなく「住民投票」も「最高裁判事の国民審査」も各種リコールも同様に「国民」もしくは「住民」の権利であり国民主権の証だ。

ところが形骸化して殆ど実質的に機能していない「これらシステム」に対して、その活用に政府が同様の熱意を示してテコ入れしようなんて所は見た事が無い。

形骸化しているとはいえ制度は制度として成立しているという違いは確かにある。

あるけど、「国民投票」の重要性を主張するために「国民主権」を謳う政府とそれらの「バランス」が良いとは思えない。


「国民投票法案」が、もし一般諸問題を前提にし、特定の「議題」を伴なわずに、あくまで公正な「システム」として「既存」であったなら恐らく当然のものとして受け入れていたと思う。(他のシステム同様、必要な時に活用されたかどうか分らないが)
その「意味」ではそれが放置されていたことの不備は確かに問われるべきだろうと思う。

ただ、首相が言明している通り、現在の「国民投票法案」は「憲法改正」を政治日程に組み込んだものであり、「システム」がただの「システム」ではなく「価値観」まみれの「システム」になってしまっている。
政府がたとえ公正だと言っても「目的が見えている」以上、政府は「国民投票」がより「成立しやすい」ようにシステムを設定したくなるのが人情だし,逆に改憲に反対する立場の人は「成立しにくい」ようにシステムを設定したくなるのが人情だ。
そして間違いなく、その時の「特異な」多数に有利な「成立しやすさ」に落ち着くことになる。
「システム」に価値が紛れ込むことでその公正性を確保出来ない。

「何をテーマとし、何が成立するか」が価値に左右されるのはあたりまえだが、「成立の過程」「成立しやすさ」が価値に左右されてはシステムの合理性が損なわれてしまう。

それが、「改憲」までも政治日程に載せて「決定システム」を制定することの不都合だと私は思っている。

これから先、状況や環境が変れば、何時、別のテーマで「成立しやすい国民投票法案」が(現在の与党に,そして国民全体にとって)仇になるかわからないし、それは充分想定されることだ。

「法システム」はどのようなテーマ・対象に対してもシステムの決まりに従ってアウトプットを出し、その「無為性」が公正感をもたらすからこそ秩序が保たれるのではないのだろうか?

とはいえ「改憲」問題が顕在化してしまった今、価値観抜きにシステムを設定することはもはや不可能だろうとは思う。
が、だからこそ政治日程に載せるなどとい言う「性急」な決定は避け,状況(環境)の変動(ばらつき)をもう少し長いスパンで見据えるべきだろうと思う。

これまで放置していた事の不備が問われることは「是」であるとは思うが、それを扱う「問題」が具体的に持ち上がってしまった(国民が改憲を意識するに至った現実が具体的で特異である)以上、その環境の中でシステムを「早急」に決めることが即ち「是」であるなどとは私は思わない。

国民が「改憲」を現実的なものとして意識したのはたかだかここ数年のことだ。
以前からそれを宿願として改憲を模索していたのはそれから比べれば「ごく一部」の人々でしかない。(それは世論調査の推移を見れば明らかだろう)
この「改憲」を現実的なものにした「事実」(湾岸戦争(国際貢献),北朝鮮問題,イラク戦争,中国の台頭)が恒久的もしくは長期的なものなのか、それとも特異・過渡的なものなのかの判断をするには短すぎる。
その事実さえも政府の政策・外交如何によっていくらでも「改憲」を必要とする「現実」で無くすことも可能なのだし・・・。

と憲法記念日に思う。

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