« 内閣府世論調査 | トップページ | 共謀罪再び »

2006/05/05

知らないこと

ちょっと古くなってしまったが先日

東京裁判「知らぬ」7割、20代では9割 本社世論調査
というニュースがあった。
私も多少興味はあるとはいえ、五十歩百歩。


そこで、私はいつ関心を持ったのだろうと記憶を辿ってみたが、ハッキリしない。
小さい頃、講堂のような中で東條被告がヘッドホーン(イヤーホン?)をつけて起立している姿を写した白黒映像が頭に浮かんでいたところをみるとドキュメンタリーか何かで関心を持ったのだと思う。

以前にも書いたが、プラモデルが好きだった私はとにかく戦争映画が好きでそればかり見ていた。
「史上最大の作戦」の再上演を映画館に喜び勇んで見に行き、「ミッドウェー」という映画を臨場感のあるセンサラウンド方式に感動しながらも「もしこのときこうしてたら」と悔しさをかみしめ、「決断」というアニメを毎週愉しみに待ち、そして、従軍画家が描いた旧かな使いの勇ましい解説つきの古い戦場画集を祖父からせしめ「すごいだろ」とか言って友達に見せ、宝物のように大事にするような少年だった。
小学校時代には防衛大に行って将来は自衛官になりたいなんて事を自民党員の祖父に話した記憶もある。
そんな少年期を過ごしたので学校の社会科で習うよりも早く「極東裁判」にも関心を持っていたはずである。
多分その関心は「悔しさ」のシンボルのような捉え方をしていたと思う。
少年にとってはミリタリーものは「かっこいい」対象。
負けたのがかっこ悪いからその象徴としての極東裁判に悔しさを感じたのだろう。

学生時代には当然歴史で学ぶのだけれど、ご存知の通り近代にはあまり時間を割くわけでもないし、関心も技術系に偏っていたので両親の話や歴史を通じて「戦争観」は変わっても極東裁判については長いこと気にもかけなかったと思う。

詳細に関心を持つようになったのは人より遅い二十歳をチョット過ぎた頃読んだ山崎豊子の「ニつの祖国」がきっかけだったのではないかと思う。
小説ではあるけれど、主人公が裁判のモニター(通訳のチェック)をする設定になっている関係で小説の後半部分は殆ど法廷内の具体的証言のやり取りで、それを読んでから極東裁判に興味を引かれるようになったように思う。

そのとき強く感じたのは極東軍事裁判は裁判の名を借りた政治、戦後秩序の主導権を賭けた外交の駆け引きの場としての側面。
小説の中ではパル判事を好意的に描いていたこともあって、パル判事の裁判に対する姿勢も強く印象付けられた。

それからだと思う、極東裁判についての情報を目にすると、つい読んだり見たりするようになったのは。
当時は歴史小説ばかり読んでいた時期で、歴史上の出来事を別の作者による別の人物の描写から受け取る印象の違いに面白さを感じていた時期なので、この極東裁判も別の資料でどう語られているかに興味を持ったのだと思う。


今の段階で私が極東裁判について思うのは、
倫理性においては「正義に名を変えた戦勝国(欧米列強)の欺瞞」。
そして、現実性においては「戦後世界秩序の為の政治的意義」。

ただし、帝国主義により獲得した既得権の保全を正当化してきた欧米戦勝国に欺瞞を見る以上、それは同時に、それに倣い、同じ理窟でアジアに進出した日本の欺瞞も同時に見なければならないと私は思う。
一方の現実性(日本の理想を為し遂げた暁に実現されたであろう秩序によって「手段が正当化」されるという現実性)は「負けた」と言う決定的事実で跡形も無く消え去ってしまったと思う。


もう一つ極東裁判の内容(証言)に触れた時に思うのは
「いかにして、かくも多大な損失を周辺国に与え、自らにももたらした戦争に突入することになったのか」
「なぜ、非合理が繰り返され、ここまで荒廃することになったのか」
のヒントがちりばめられているのではないかという事。
ここに、日本がしてこなかった「自ら省みなければいけない要素」があるように感じる。

私は前回のエントリーで
「最初から戦争を望む者など居やしないのであって、いくつもの選択の積み重ねの結果、気が付けばいつの間にやらそこにいて、「ここに至っては」と思いながらおっぱじめるのが戦争だ」と書き、以前にも似たような戦争観でエントリーを書いているけれど、そのベースには多分にこの極東裁判に関心を持って読んだり見たりしたものの影響があるのではないかと思う。

今、改憲論議が政治の舞台では盛んである。
靖国問題も重要な課題だ。
これらと極東裁判は深い部分で繋がっていると思う。

教育基本法も共謀罪も、その必要性とは別のところにどのような落とし穴があるかを予期させるエッセンスがこの極東裁判の証言の数々の中にあると思う。

そんなこんなを考えあわせると、知らなければならない事は山積みだと思う。

|

« 内閣府世論調査 | トップページ | 共謀罪再び »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/31221/9911599

この記事へのトラックバック一覧です: 知らないこと:

» 「憲法9条堅持派が大多数」市民団体調査結果〜メディアの調査は信用できるのか? [情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士]
トラックバックをもらったので,「憲法9条 変える?変えない?全国意見投票」(ここ←)について調べてみたところ,共同通信←が,【憲法改正の動きに対する国民の意識を調査しようと、野田隆三郎岡山大名誉教授らが呼び掛け人となり、33都道府県の72の街頭で、通行人に9条改正の賛否についてボードにシールを張って投票してもらった結果、改正反対が8割近くに上った。】という記事を配信していることが分かった。 ... [続きを読む]

受信: 2006/05/06 00:08

« 内閣府世論調査 | トップページ | 共謀罪再び »