クルシュー砂州
今日(正確には昨日)のTBSの世界遺産はリトアニアのクルシュー砂州だった。
バルト海沿岸のこの地域には太古の樹液が化石化した琥珀を使った独特の文化を築いた人々が住んでいたということだ。
驚いたのはこの世界遺産であるクルシュー砂州の森林のその殆どが人工の物で有るという事だ。
もともと有った森林は16世紀の産業の拡大で伐採され、その殆どが砂漠化してしまったらしい。
またもや人間の愚かさを知ることになったのだが、ここでは人の愚かさだけではなかった。
砂漠化したはずの全長百キロにも及ぶこの砂州は今、立派な森林に覆われている。
これは自然に再生された物ではなく、クペルタスという人が植樹を始め、それに住民が呼応して植林運動が起こり人の手により一本ずつ植樹された結果今のような美しい姿を再現する事ができたのである。
富や欲の為に自然を壊すのも人ならば、それを意思により再生させたのも人なのである。
人の人たる所以をそこに見るような気がする。
最近の日本の現実主義者ならば「富と欲は人の性」、それに抵抗するのは理想論で片付けてしまうところであろう。
しかし、現実は違うのだ。
人はそれに逆らい自らの「意思」によりそれを為し遂げたのだ。
スターリンの時代になり、それを為し遂げた多くの人々はスターリンへの恐怖からそこから逃げ、残った人々の多くはシベリアに送られ、結局クルシュー人は消滅する事になる。
しかし、彼らの「意思」が為し遂げた「結実」は今も人々にその美しさを誇らしげに見せつけている。
最後まで示唆的ではないか。
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