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2004/11/10

我々が支持しているもの

とうとう、アメリカ軍のファルージャ攻撃が何のためらいもなく、かくも露骨に開始されてしまった。
ブッシュ大統領再選後のブッシュ政権に国際協調を期待することができないことを、全く躊躇のないファルージャ攻撃で世界に宣言した。
彼らの望む物は世界との協調ではなく、世界に力による既成事実への追認を求めることを意味しそうだ。

これでアメリカは力によるテロとの戦いをどうしても勝たなくてはいけない理由を増やしてしまった。
これまでもそうであったが、勝って闇に葬らなくてはいけない事実をさらに増やしてしまった。
どんなに非論理的で、非合理的、非人道的、非合法的と気づこうとも、軌道修正を困難にする要因をまた1つ積み上げてしまった。
戦争は負ければ歴史には悪と記される。
その中で行なわれた事は悪行として露見する。
これまで行なわれてきた事を闇に葬り「正義」とする為にはどんなに反対されても、どんな手を使っても勝たなくてはならない立場にさらに自らを追い込んでしまった。
戦争が人類にとっていかに「不合理」(日本もかつて通ってきた)であるかの典型的なサンプルではないか。

これまで「愛国心」があるがゆえにイラク攻撃に批判的であった半数のアメリカ人にも、既成事実をよりどころに更なる「愛国心」を突きつけ、「愛国心を持つものがこの期に及んでまだ批判を口にするのか?」と「踏絵」を暗黙のうちに迫る事になりそうだ。
これも歴史で何度も行なわれた「愛国心」の流用の典型的なサンプルだ。
これは同盟国と呼ばれる諸国に対しても「忠誠心」と言葉は変わるが同じことである。

民主主義や人権・自由を理由にした秩序作りという当初の受けのよい看板を捨て、(本来の?)前時代的な力の正義という価値観による秩序造りに架け替えられたように思える。
これは意図的であったかどうかに関わらず、どちらにしてもそうなってしまったという事だ。
このような「過去の遺物」と思っていたことを私たちは目にしている。

初期のイラク戦争で米軍が圧倒的な軍事力で制圧したように、ファルージャも軍事的に制圧する事が可能かもしれない。
報道管制により「人道」を表に出す事がなければそれはさらにたやすい事かもしれない。
しかし、それでファルージャが葬り去られて終るわけではない。
人に植え付けられた「力の正当化」は、その作戦名のごとく「亡霊」のように社会に巣食う事になるだろう。
「やはりこの世は力だ」という輩がためらいもなく跋扈することになろう。
経済に於けるグローバリゼーションと軍事力による「弱肉強食」時代の到来。
「理不尽」に対し「従属」か「絶望」の選択しかもたらさない時代。

これはブッシュ政権に限らず大国である中国にも、ロシアにも、そしてテロリストにも、その口実を等しく与える事を忘れてはいけない。

ブッシュ政権のこの意思は我々の持つ意思と同じなのだろうか?
秩序を望んでも、このような秩序が我々の望む秩序なのだろうか?

今、日本はそんな価値観を支持する側にいる。
この価値観で報われそうもない私を含めた国民がそれを支持している。

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コメント

>人に植え付けられた「力の正当化」は、その作戦名のごとく「亡霊」のように社会に巣食う事になるだろう

これがブッシュのアメリカが描く「新世界秩序」を推進するために必要だということなのでしょう。

「新世界秩序」という言葉はきれいですが、その背後の思想はとても容認できるものではない。しかしかれらはそれを「信じて」いるのです。

http://www2.pf-x.net/~informant/tokushuu/usversusun.htm
http://www.jca.apc.org/~kmasuoka/persons/chom900923.html
http://www.jca.apc.org/ppsg/News/No.4/NL04-03.html

投稿: MAO | 2004/11/10 15:49

MAOさん こんにちは
新保守主義の新世界秩序と聴いて肌寒いものを感じる人は多いと思います。
これは秘密でもなんでもなく公然と主張されていますね。
ただ、多くの人はこんな事は実際には起こらないだろうとタカをくくっているのだと思います。
価値観の推移はリアルタイムでは荒唐無稽にしか映らないのかもしれません。
だから、実際に起こっていることをそれに結び付けては考えない。

リンクの「権力者の新世界秩序と私達の新世界秩序」は、私がエントリーで書いた「我々の望む秩序」の部分を考える上で参考になります。ありがとうございます。

投稿: FAIRNESS | 2004/11/11 15:15

現実を見ないといけない、考えないといけない、想像力を総動員して考え抜かないといけないと切実に感じています。

この時代を生きる一人として。

投稿: MAO | 2004/11/11 20:19

MAOさん
本当に何が現実か私も真剣に見つめて、考えます。

投稿: FAIRNESS | 2004/11/12 12:58

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