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2004/06/12

「教育基本法の改○」

戦後日本は「人権」「自由」「民主主義」を教えてきた。
その結果、奔放になりすぎ社会の中で「公」を省みる事がなくなった(?)と考える人がいる。
この事態に対する危機感から「愛国心」を養おうと言う気運が以前より高まってきている。

ところで本当に「人権」「自由」「民主主義」がこの事態を招いたのか?

これは、たぶん違う。
個と公がこのシステムの中で対立するものではないことは先進国では常識的な認識ではないだろうか。

偏った教育が「人権」「自由」「民主主義」を、単語、システムといった「知識」としてしか教えず、集積された「知恵」としてこれを理解する教育が行なわれてこなかっただけではないのか?
これらを守るのがどんなに大事で、難しいかを教えていないだけではないのか?
何がこの大事な思想を機能不全に陥れるかに気づく知恵を授けていないだけではないか?

どれだけの子供たちが本当に「人権」「自由」「民主主義」を理解しているのだろう。
これらの教育を受けて育ったはずなのに
「民主主義は多数決だ」と言う認識しかない大人や
「選挙で選んだ以上は国の政策に批判などするな」と言い出す大人や
「私一人が選挙に行っても何も変らない」などとあたりまえの理由で選挙にも行かない大人がこれだけいることを見ても、とてもこれらの教育が正しく行なわれてきたとは思えない。
さらに、実務者である政治家ですらこれよりもひどい発言をしている現状を見ればなおさらだ。

「人権」「自由」「民主主義」の中に「個」と「公」の最適化を実現する知恵があることを理解しようとする前に、「公を省みなくなった」事態を「公を省みろ」と即効性のある法の力で強制しようとして持ち出したのが与党の「教育基本法の改正」なのではないだろうか?

しかし、これは副作用の大きい薬のような物だと思う。
現れた症状を一時的には抑えても、あちこちに副作用を引き起こし、生命にも危険を及ぼす麻薬のような物なのではないか?


「東京裁判」は裁判としてはこれほど公正に欠いた裁判は無いとは思うけれど,その中で明らかにされた事実には考えさせる物がある。

「愛国心」を徹底的に叩き込まれた多くのエリート軍人(将校)が,迫り来る本当の現実を知りながらそれから目をそらし、優秀な頭脳を生かせず,発言もできず、システムを維持するために「勇ましい誤った判断」を繰り返したことで、どれだけ多くの兵士や国民そして日本に損害を与えたかの記録だと思う。
いざとなった時にシステム(国家)に対する「愛国心」は役に立たなかったばかりか「強制」の弊害が前面に出てしまった感がある。
上層部とは違い多くの一般兵士は愛国心ゆえに各地で最後まで頑強だったと聞く,果たして彼らは教えられたシステムを対象とした「愛国心」を胸に亡くなっていったのか? 
「両親」「恋人」の住む「故国」の「風情」「大切な思い出な思い出」などといった自然発生的な「愛国心」を胸に死に向かって突撃したのではないかと思うのは戦後教育を受けた私だからだろうか。
東京大空襲の中を逃げ惑った両親から聞いた戦中の話、特攻隊員の手紙などを見ると、こう考えてもおかしくないと思うのだが。

すぐ極端な「戦争の話」に結びつけるとお叱りを受けそうだが、人工的な愛国心は後戻りができない分、冷静な判断を誤らせ、それこそ国益に反する結果を呼び寄せてしまいそうな気がしてならない。
9.11以降、イラク戦争前のアメリカ国民の「愛国心」は燃え上がり使命感に震え「愛政府心」と一体化してアフガニスタンを経てイラク戦争に突入した。
実際にさまざまな「目に見える思わしくない結果」が出始めた今,我々はアメリカ人がその時(今も)冷静な判断をしたと評価しているだろうか?
私はアメリカは冷静さを欠き、できもしない、やらなくてもいい手段を選んでしまったと思っている。
しかし、これは人事ではない。
この極東においても「日本から見ると」挑発的な周辺諸国の動きがいくつもある,この中でこの手の「愛国心」に火がついた時に冷静な判断ができるだろうか、抑える自信があるのだろうか?
こんな中でたとえ中国国内で反日感情を煽る動きがあろうとも動ぜず、冷静に石油採掘問題に苦情を申し入れ、理性的な話し合いで両国の利益を見出す自信があるだろうか?
より優位にたって問題にあたりたいという「政治的な駆け引き」が「昂揚した感情」で予期せぬ方向にいかぬ自信があるのだろうか?
多勢になびく国民性を考えればまず自制はできず無益な感情の対立を深めていくだけのような気がする。

「愛国心」を意図的に植え付けることにはやはり反対だ。

そんなことよりも、本当の「人権」「自由」「民主主義」をしっかりと「理解」させる教育をして欲しい。
宗教的善悪感の薄い我国にあっては、先人の知恵である「モラル」(道徳)を理を尽くして教えて欲しい。
その中から学校という小さな模擬社会で「公」の必要性を自ら気づく知恵を与えて欲しい。
「愛国心」など前面に出さずに、今ある科目の中で外国人も一目置く「日本の文化」のよさを伝えて欲しい。

「愛国心」を押し付ける事でよい社会を目指すよりも、この方が余程リアリティーがあると思うのだが。

最後に、国民の風潮がどうこう言う前に 政治家が自らその規範を示す事が先決であると戒めて欲しい。

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コメント

民主主義というものが進歩的だった時代は終わりを遂げたのかなと言う感じがします。その前の時代を支配していた空気が進歩を押しとどめていた時代には、民主主義は実に有効な制度であり、考え方だったのだろうと思います。しかし、それはもうかなり行き詰まってしまったのかなと言う感じがします。

そういう意味では、僕は、世間の評価とは全く逆に、かつては民主主義は「良かった」のだが、今は進歩を阻む「悪いもの」というふうに受け取っています。だから、戦後民主主義は進歩に役立ったが、いつまでもそれにとどまっていることが間違いだったのではないかとも思います。

民主主義は最後の奴隷制だとも言われています。それは、民主的な手続きで決められたことは、その反対者も縛られてしまうからです。今は、一つの考えが圧倒的多数を占めると言うことはないのですから、反対者は従わなくてもいいという柔軟な民主主義が必要なのではないかなとも思います。

極端なことを言えば、やりたい人間がやればいいという考えです。でも、これは細かく論じないと誤解を受けるでしょうね。常識に反する考えだけに、それを理解してもらうのがたいへんだなと思います。

投稿: | 2004/06/12 10:30

秀さん こんにちは

前回もトラックバックいただきありがとうございます。
実はPassingStrangerさんのリンクで知り、以前から時々お邪魔させて戴いています。

たぶん私は今のところ民主主義はそれほど悪くないと考えています。
民主主義の問題を解決できる納得できる新しい制度がイメージできないので、今は民主主義を前提に物事を考えているのだと思います。
ただ、民主主義のベースとなるべき物が日本人にもともと必然的に備わっていないのかもしれないと思うことは良くあります。
歴史の中でやがて淘汰されるのも必然かも知れません。
でも、まだつづき,この枠内で考える必要があるのではないかと感じてます。

私自身、秀さんとは違い教育の現場からこの問題を見る立場の者ではありませんので、教育の現場に立つ秀さんの「やりたい人間がやればいい」というのがどんなものかには興味があります。
ベースとなる認識の理解無しに結果だけを表現するのは難しいとは思いますがいつかblogで紹介される日を楽しみにしています。
その時は,是非トラックバックお願いします。

投稿: FAIRNESS | 2004/06/13 07:46

短い文章で論じるのは危険なのですが、まだまとまっていない考えでもあるので、一つの仮説としてきいていただければと思います。

僕は、民主主義の発展は、資本主義の発展とともにあったので、資本主義が進歩的な時代には、民主主義も進歩の方向を向いていたのだろうと解釈しています。資本主義の進歩性に関しては、一人では出来ることが小さなことになってしまうが、資本を蓄積して大きな力を持てば大きなことが出来るという、その規模の大きさに進歩性があったように感じています。

資本の蓄積をする過程で、民意を集めて、それによって資本の蓄積も進めるという点で民主主義と資本主義がともに手を携えて進歩を助けていたという感じがしています。

その進歩を助けていた資本主義が、今の段階では、資本主義に携わらないでは今の水準から取り残されてしまうという、足かせになるという面が出てきたのではないかなと言う感じもしています。資本主義が足かせになり、民主主義が足かせになり、それが自由を阻むようになっているところに、その限界が露呈してきたという思いを抱いています。

やりたい人間が中心になってやるという面を持たせることによって、「自由」というものを取り戻すところに、再び「進歩」の面を見いだせないだろうかというのが僕の思いです。まあ、「進歩」しなくてもいいんだよと言うこともありますので、資本主義も民主主義も退化していくのも悪くはないのかなという思いもありますが。でも「自由」の価値を見いだしたいというのは、個人的な嗜好の問題でもあります。

投稿: | 2004/06/13 14:15

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